メンテナンスのステップ
販売台帳の照会
実際の作業開始に先立ち、オーバーホールや修理のため到着したすべてのタイムピースは、1839年創業以来のすべてのタイムピースの詳細データを記載したパテック フィリップ販売台帳に照会されます。販売台帳はパテック フィリップの伝統の根幹をなしています。各々のタイムピースのムーブメント番号とケース番号を知れば、そのタイムピースの全歴史が追跡できるのです。
見積り
オーバーホールの価格は、作業の複雑さや全般的な条件により決まります。現行コレクションの場合、通常、時計到着から5ウィークデー以内に見積りが作成されます。
フル・メンテナンスは多くのステップと高度な技術を要します。このため期間は、ムーブメントの種類により6〜12週間かかります。時計の修復には、さらに長い期間が必要です。
ムーブメント
通常、部品総数150個またはそれ以上のシンプルな(コンプリケーションを含まない)ムーブメントの分解には、1~2時間が必要です。分解の過程で、不具合があれば発見されます。
次に、分解した構成部品と交換部品が洗浄機にかけられ、組立て後に不具合の原因となる、付着した微細な塵や油脂を除去します。
ケースとブレスレット
ケースとブレスレットは必ず洗浄し、付着物を除去します。これは続くポリッシュ仕上げの際、ケースに傷がつくのを防ぐために欠かせない工程です。
お客様の希望があれば、ケースとブレスレットのポリッシングを行います。ポリッシングには、仕上げ表面の種類に応じて異なる種類のテクニックが用いられます:
手作業による伝統的なポリッシングは、「フリー・フローティング」というテクニックを用います。この高度な技術は長い経験、巧みな手先、素早い反射神経を必要とします。
この他サテン仕上げ、レーザー溶接、ダイヤモンド研磨などが行われ、ダイヤモンド研磨は鏡のような光沢をつくり出します。
ケースまたはブレスレットに対する一部の作業には、時計の完璧な美観を保証するためのポリッシング工程を合わせて行う必要があります。
時計のライフタイム(寿命)の間に行うことのできるポリッシングの回数には限度があることにご注意ください。
組立て
ケース工程が終了したら、最終目視検査、防水検査(防水ケースのみ)を行います。
ムーブメントの組立ては埃のない清浄な環境の中で行います。構成部品の組立ては、各ムーブメント毎に定められた順序に従い、特定の部分への注油など多数の工程を含んでいます。規準に準拠した完璧な機能と精度を得るため、組立て中および組立て後に調整を行います。
その後、文字盤と指針を取付け、ケーシングを行います。ケース内部の湿気を完全に取り除いた後、ケースバックを装着します。その後、精度検査を行い、目視検査を行います。
最終検査
最終検査は、技術的規準と美的規準の両面から行われます。最終検査には最大14日間かかります。
メンテナンスの種類:
エッセンシャル・サービスがご利用可能
正規サービスセンター、またはエッセンシャル・サービスがご利用可能な正規販売店により行われます。主に電池交換、防水検査、バンドの交換、ブレスレットの長さ調節、シンプルな時計またはコンプリケーテッド・ウォッチの時刻調整を行います。
パーシャル・メンテナンス
- パーシャル・メンテナンスは、ムーブメントの分解・組立て以外のメンテナンスを行います。
フル・メンテナンス
- ムーブメント:完全な分解、すべての構成部品の検査、洗浄、組立て、注油、調整、文字盤と指針のアジャスト、およびすべての検査を行います。
- ケース(およびブレスレット):洗浄、すべてのケース・シーリングの交換、防水時計の場合は防水検査(気密式と浸水式)、必要な場合は修理。お客様の希望があればポリッシング。
メンテナンスと修理の工程には、時計製作工程と同じ品質規準が適用されます。
パテック フィリップのメンテナンス・サービスには、全世界のパテック フィリップ正規サービスセンターで有効な、2年間の修理保証が行われます。無資格の第三者による修理が行われた場合、パテック フィリップの保証は無効となります。